🔁 2026年リライト版 この記事は2018年8月に公開した「Amazon Lightsailで月5ドルから始めるWordPress(独自ドメインでのメール送受信)」を、2026年時点で主流の Amazon SES + 外部メールホスティング(Zoho Mail / Google Workspace) の組み合わせに書き換えたものです。
前回の記事でLightsailインスタンスの構築とHTTPS化まで完了しました。次に独自ドメインでのメール送受信を設定します。2018年当時は SES + S3 + Lambda を組み合わせる方法や Postfix を自分で建てる方法を紹介していましたが、2026年現在はGmail/Outlookの受信拒否(スパム判定)がかなり厳しくなっており、自前Postfixは事実上運用不可と考えてください。
2026年に推奨する構成はこれです。
- 送信(SMTP): Amazon SES(月62,000通まで無料枠あり)経由でWordPressからメール送信
- 受信: Zoho Mail(無料)、Google Workspace(月$7程度)、Amazon WorkMail(月$4)のいずれか
- 認証: SPF、DKIM、DMARC を必ず設定(2024年以降の Gmail / Yahoo の受信要件)
1. DNS レコードでメールを別ドメインに流す
Lightsailインスタンス自体はメール送受信せず、DNSのMXレコードで外部メールサービスに流します。前提として Lightsail DNSゾーンまたは Route 53 でドメインを管理しているものとします。
受信用: Zoho Mail を例に
Zoho Mail は無料プランで5ユーザー・5GB/ユーザーまで独自ドメインメールが使えるので、個人ブログの問い合わせメール受信には十分です。アカウント作成後、Zohoの指示に従い次のDNSレコードを追加します。
- MX:
mx.zoho.com(優先度10)、mx2.zoho.com(20)、mx3.zoho.com(50) - TXT(SPF):
v=spf1 include:zoho.com ~all - TXT(DKIM): Zoho管理画面で発行される値
- CNAME: ドメイン認証用のレコード(Zohoの指示)
送信用: Amazon SES
WordPressが送る管理メール(新規投稿通知、ユーザー登録確認、パスワードリセットなど)は Amazon SES 経由で送ります。Lightsailと同じAWSアカウントで使えるため、管理が楽です。
- Amazon SESコンソール で「Verified identities」→「Create identity」
- ドメインを追加し、Easy DKIM を有効化(自動でTXT/CNAMEレコードが生成される)
- DNSに指示された DKIM 用 CNAME 3本を追加
- 確認が完了したら、SESが「本番アクセス(Production access)」に移行するようリクエスト(最初はサンドボックスモード)
本番アクセス取得後は1日62,000通まで無料枠で送れます。個人ブログでは使い切らないはずです。
SPF統合
SESとZohoを併用する場合、SPFレコードは1ドメインに1つまでなので統合します。
v=spf1 include:amazonses.com include:zoho.com ~all
DMARC(必須)
2024年2月からGmail/Yahooが受信側でDMARCポリシー宣言を要求しています。未設定だとスパム判定率が跳ね上がります。
_dmarc TXT "v=DMARC1; p=none; rua=mailto:postmaster@example.com"
p=none で監視モードから開始し、問題なければ p=quarantine → p=reject と締めていきます。
2. WordPress から SES 経由でメール送信する
WordPressの wp_mail() はデフォルトでサーバーローカルの sendmail(Postfix)を使いますが、Lightsail Bitnami ではPostfixは動作していないので、SMTP経由に切り替える必要があります。
もっとも簡単な方法は WP Mail SMTP プラグインを使うことです。
Mailer: Amazon SES
Region: ap-northeast-1(SESのリージョンに合わせる)
Access Key ID: IAMで発行(ses:SendEmail 権限のみ付与)
Secret Access Key: 同上
From Email: wordpress@example.com(事前にSESで認証済みのドメインのアドレス)
From Name: サイト名
IAM ポリシーの例(最小権限):
{
"Version": "2012-10-17",
"Statement": [{
"Effect": "Allow",
"Action": ["ses:SendEmail", "ses:SendRawEmail"],
"Resource": "*"
}]
}
プラグイン上の「テストメール送信」で自分のGmail宛に届き、ヘッダの Authentication-Results が spf=pass dkim=pass dmarc=pass になっていれば成功です。
3. よくある失敗
- SPFを複数TXTレコードに分けている → 1レコードに統合しないと認証失敗
- SESのサンドボックスから本番昇格していない → 認証済みアドレス以外に送れず、
Email address is not verifiedエラー - DKIM用CNAME伝搬待ち → 最大72時間待つ場合あり
- WordPressの送信者アドレスが未認証ドメイン →
From: wordpress@example.comが SES 認証済みでないと送信拒否
4. コスト感(2026年時点)
月のメール送信数・受信数を実運用ベースで見積もると:
- Lightsail インスタンス: $5
- Amazon SES(送信 1,000通程度): 無料(62,000通/月まで)
- Zoho Mail(受信 1ユーザー、無料プラン): 無料
- ドメイン(
.com等): 年間 $10〜15
合計で 月6〜7ドル で独自ドメインのWordPressブログとメール運用ができる計算です。
まとめ
- 自前Postfixは2026年には運用コストが見合わない
- 送信は SES、受信は Zoho / Workspace / WorkMail に分離するのが定番
- SPF/DKIM/DMARC の設定は必須
- WP Mail SMTP プラグインで WordPress を SES に向ける