WordPressのサイト表示速度を高速化させるために行っている施策まとめ

あなたのサイトの表示速度を向上するための Tips をいくつかご紹介します。すべて弊サイトで実際に行っている施策ばかりです。サイトの表示速度は、SEO にとっても重要な要素です。ぜひ挑戦してみてください。

WordPress アップロード前の下準備

画像ファイルの圧縮

WordPress に限らず、Web サイト表示のロード時間の大部分を要するのは、容量の多い画像ファイルです。できる限りアップロード前に圧縮を済ませておくことが望ましいです。画像を圧縮するソフトウェアや Web サービスは星の数ほどありますが、オススメは PNG ファイルが「pngquant」、JPEG ファイルが「jpegoptim」です。

pngquant、jpegoptim のインストール

どちらも CUI で使用するツールです。macOS のパッケージ管理ソフト「Homebrew」でインストールできます。Homebrewのインストールについては、はじめての gulp.js!Mac で CSS ファイル、JavaScript の圧縮を行おうを参照してください。

brew install pngquant jpegoptim

使用方法

どちらもターミナルから使用します。「pngquant」は、PNG の色数を減らすオプションもありますが、デフォルトのままでも十分な圧縮が期待できます。

pngquant --force XXXX

「jpegoptim」は、メタ情報をすべて削除した上で、画質を 80%程度に落とすのがオススメです。これ以上画質を落とした場合、劣化が気になり始めます。

jpegoptim -f -s -m80 XXXX

JPEG 形式と PNG 形式の使い分け

そもそも JPEG 形式と PNG 形式はどのように使い分ければ良いのでしょうか。

JPEG 形式は色数が多い写真のような媒体に向いています。高精細な媒体を使用する場合は、JPEG を選びましょう。iPhone のカメラアプリで撮影した写真は JPEG で保存されます。

PNG 形式は色数が少ないイラストのような媒体に向いています。iPhone のスクリーンショットは PNG 形式で保存されます。写真とスクリーンショットで種類が違う理由はここにあるのです。

1600×1059 サイズの JPEG ファイルのもともとの容量は約 200KB ですが、あえて PNG 形式で保存し直すと、容量は 1.3M と約 7 倍近くに膨れ上がります。画像を適切に扱うだけで、画像ファイルのサイズは増加したりも減少したりもしますので、注意しましょう。

画像ファイルのリサイズ

たとえば、 <div> タグの横幅が 200px しかないにもかかわらず、同タグの中に横幅が 1,000px の画像を配置することは、リソースのムダ遣いになります。適切な横幅のボックスに適切なサイズの画像を配置することが重要です。

WordPress には便利なオプションが用意されています。たとえば、上記の <div> タグに横幅一杯の画像を表示する予定であれば、functions.phpに以下を追加しましょう。

add_image_size( 'custom-size', 200, 9999 )

と、指定しておくことにより、新規アップロード時に横幅 200px(縦幅は任意)の画像ファイルを自動生成してくれます。ただし、新規アップロード時のみです。すでにアップロード済みの画像ファイルには適用されませんので注意してください。

the_post_thumbnail( ‘custom-size’ ),

上記の画像ファイルを読み込むためには、 the_post_thumbnail() 関数を使います。「custom-size」という名称が定義されている場合には、事前に add_image_size で指定した画像が読み込まれます。

なお、WordPress ではデフォルトで 3 種類の画像サイズが定義されており、画像ファイルの新規アップロード時には 3 種類のファイルが自動生成されるようになっています。もし、必要としないのであれば「設定」→「メディア」からすべて空白にしておきましょう。

Force Regenerate Thumbnails

もし、すでにアップロード済みの画像に対して、サムネイルのサイズを変更したい場合には、WordPress › Force Regenerate Thumbnails « WordPress Pluginsがオススメです。古いサイズのサムネイル画像を削除した上で、新しいサイズの画像ファイルを自動生成してくれます。

スタイルシート、JavaScript の圧縮

塵も積もれば山となる、スタイルシート、JavaScript もその対象です。Web サイトで読み込むスタイルシート、JavaScript のサイズが小さければ小さいほど、そして少なければ少ないほどサイトの表示速度は向上します。

ブラウザは HTML ファイルを上から下に順番に読み込んでいくため、HTML の上位に大きなサイズのスタイルシートや JavaScript が存在する場合、そこで読み込みが止まってしまいサイト表示速度が著しく遅くなります。

よって、ページのレンダリングに必要なスタイルシートは上位で、ページのレンダリングに不要な JavaScript は下位で読み込むのが、サイト表示速度を上げる定石とされています。

スタイルシートの圧縮

スタイルシートの圧縮についてははじめての gulp.js!Mac で CSS ファイル、JavaScript の圧縮を行おうでご紹介した「gulp.js」をオススメします。手元に「gulp.js」の実行環境がない場合は、Web サービスを利用する手もありますが、この際ですから是非「gulp.js」の環境構築をオススメします。手間が随分違いますよ。

また、上記はスタイルシート(CSS ファイル)の圧縮についてのみ触れていますが、JavaScript も同様に「gulp.js」で圧縮できます。

gulp-uglify

gulp-uglify は、JavaScript を圧縮してくれる便利なプラグインです。インストールは、その他の gulp プラグインと同様です。

npm install gulp-uglify --save-dev

また、gulpfile.js には以下のように記述します。

var gulp = require('gulp');
gulp.task('jsmin', function() {
    var rename = require('gulp-rename');
    var uglify = require('gulp-uglify');
    gulp.src('wordpress/wp-content/themes/macious/src/js/*.js').pipe(uglify()).pipe(rename({
        suffix: '.min'
    })).pipe(gulp.dest('wordpress/wp-content/themes/macious/js'));
});

圧縮前のファイルを残すために、拡張子の前に「.min」という文字列を付与しています。このように、「gulp.js」を使用すればすべてのタスクを自動化できます。

Web サーバの設定

Web サーバ側の設定です。今回は弊サイトを運営しているエックスサーバーに採用されている Apache について触れます。その他の Web サーバについても同様の設定が可能ですが、検証できる環境がありませんので、今回は Apache のみとさせてください。

ブラウザキャッシュの活用

JPEG ファイル、PNG ファイル、スタイルシート、JavaScript など、一度アップロードしてしまえば、初期構築時を除き、なかなか更新することはありません。このような「静的」リソースは、一度表示した後は、ブラウザ(すなわちクライアント)のキャッシュから表示してもらう方法が高速です。

キャッシュが無効の場合、サイトへアクセスするたびに画像やスタイルシートがダウンロードされてしまうため、サイト表示に時間がかかります。スタイルシート、JavaScript は結構変更することが多くて、という場合でも、画像ファイルだけでもキャッシュするとサイト表示速度向上に大きな効果が望めます

Web サーバ(Apache)の設定は「.htaccess」ファイルで行います。WordPress インストールディレクトリ直下のこのファイルを編集してください。なお、# END WordPress より上の項目は、サーバ初期構築時、WordPress インストール(パーマリンク設定時)に自動更新されたものです。誤って編集しないよう注意しましょう。

<IfModule mod_expires.c>
ExpiresActive On
ExpiresByType image/png "access plus 1 months"
ExpiresByType image/jpeg "access plus 1 months"
ExpiresByType image/gif "access plus 1 months"
</IfModule>

これでブラウザ側に画像ファイルがキャッシュされるようになります。サーバ側に高負荷をかけることもなく、ユーザーのサイト表示の体感速度も大幅に向上するためオススメです。(ただし、mod_expires がサポートされている Web サーバのみで有効です)

圧縮可能なリソースの圧縮

画像ファイルはブラウザにキャッシュさせることでサイト速度を向上させることができましたが、その他のコンテンツはどうすればよいでしょうか。Apache を始めとする Web サーバにはコンテンツを圧縮して転送する技術があります。これを使用します。

具体的には、.htaccess に以下のように記述します。

<IfModule mod_deflate.c>
SetOutputFilter DEFLATE
SetEnvIfNoCase Request_URI .(?:gif|jpe?g|png|ico)$ no-gzip dont-vary
AddOutputFilterByType DEFLATE text/plain
AddOutputFilterByType DEFLATE text/html
AddOutputFilterByType DEFLATE text/xml
AddOutputFilterByType DEFLATE text/css
AddOutputFilterByType DEFLATE application/xhtml+xml
AddOutputFilterByType DEFLATE application/xml
AddOutputFilterByType DEFLATE application/rss+xml
AddOutputFilterByType DEFLATE application/atom_xml
AddOutputFilterByType DEFLATE application/x-javascript
AddOutputFilterByType DEFLATE application/x-httpd-php
</IfModule>

画像ファイルは圧縮した上でアップロードしているため、Web サーバによる圧縮の対象外としてます。また、mod_deflate はサーバの CPU 使用率を向上させる可能性があります。設定を間違えると、とくにレンタルサーバの場合、第三者が害を被ることがありますので注意してください。mod_deflate については以下のサイトが参考になりました。

https://oxynotes.com/?p=6519

WordPress の設定

最後は、WordPress の設定です。上記で補えない箇所を、WordPress や jQuery のプラグインを使用して高速化します。

001 Prime Strategy Translate Accelerator

WordPress は、世界各国で使用されている万国共通の CMS です。そのため、日本語のみならず英語やドイツ語といった外国語をサポートしているのが特徴です。そのために、WordPress は環境に応じて言語を使い分けているのですが、この言語の翻訳に多少時間を要します。

そこで、この翻訳ファイルを改めて翻訳しないようキャッシュして表示を高速化するのがこのプラグインです。公式リポジトリに登録されているプラグインのため、WordPress のダッシュボードからインストールできます。オンにしておくだけで効果が表れますので、ぜひ導入しましょう。

https://wordpress.org/plugins/001-prime-strategy-translate-accelerator/

なお、WordPress のデバッグモードを ON にしている場合で、かつこのプラグインを利用している場合、以下のような警告が表示されます。動作に影響はありませんが、本番環境ではデバッグモードは OFF にしておきましょう。

Strict Standards: Redefining already defined constructor for class Prime_Strategy_Translate_Accelerator in /var/www/wordpress/wp-content/plugins/001-prime-strategy-translate-accelerator/001-prime-strategy-translate-accelerator.php on line 34

wp-config.php

define( ‘WP_DEBUG’, false );

EWWW Image Optimizer

画像ファイルの圧縮に使用するプラグインです。冒頭で述べた通り、できる限りローカル環境において、画像ファイルの圧縮、最適化を行った上でアップロードすることが望ましいですが、環境がない場合はこのプラグインを使いましょう。

アップロードした画像を自動で圧縮、最適化してくれます。投稿以外のファビコンで使用している画像など、意図せぬところにまだ最適化、圧縮の余地が残されている画像が存在したりするものです。導入しておいて損はないプラグインです。

https://wordpress.org/plugins/ewww-image-optimizer/

WP-Optimize

WordPress は、MySQL というリレーショナルデータベースを使用しています。データベースは、データの挿入、削除を繰り返すと、ハードディスクのようにムダな空き領域がうまれたり、検索パフォーマンスが著しく低下する可能性があります。

そのため、MySQL も定期的にメンテナンスを行うことが望ましいのですが、データベースに直接アクセスするのは敷居が高いことがよくあります。(エックスサーバーは phpMyAdmin からアクセスできます)

そんなときに便利なのが、このプラグインです。一時的に使用されたテーブルのレコード削除や、データベース全体の最適化を行ってくれます。常時オンにしておく必要性はありませんが、導入しておいて損はないプラグインといえます。

https://wordpress.org/plugins/wp-optimize/

ソーシャルネットワーク

最後にソーシャルネットワークのシェアボタンの設置についてです。Twitter、Facebook、Google+、はてなブックマークなど、まともに公式サイトのボタンを設置して取得しようとすると時間がかかってしまいます。

そのため、弊サイトではjQuery を使用して Twitter、Facebook、Google+、はてなブックマークのシェア数を非同期で取得する方法のまとめでもご紹介したように、すべて非同期による読み込みを行い、サイト表示速度向上を図っています。ぜひこちらもご覧いただければと思います。

その他、非同期で読み込む方法はすでに定石化されています。下記のサイトの他、多数のサイトで紹介されていますので、読み込む時間が遅く感じる場合には参考にされてみてください。

http://tokkono.cute.coocan.jp/blog/slow/index.php/xhtmlcss/asynchronous-loading-of-major-social-buttons/

まとめ

いかがでしたでしょうか。少しでも WordPress 運営者の皆様の参考になればと思います。

上記の施策は一例です。その他にもさまざまな施策を行われているところもあると思います。もし、そのような事例があれば、ぜひコメント欄または @おったんまで教えてくださいね。

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